映画『ただいま-それぞれの居場所』


昨日は『オムツ外し学会』という介護職の研修会の前夜祭で
映画『ただいま‐それぞれの居場所』の上映があった

〈宅老所〉と呼ばれる小規模のディサービスを起業した若者達と、どこも引き受けてくれないような老人達とその家族、地域の物語

「決まり」とか「和を乱す」とかいう管理ではなく、認知症があっても、一人の個性として見てゆく〈宅老所としての生き方〉というものが今、まだ小さな発芽だけれど確かに芽吹き始めている

「あんなにたいへんだったのに帰ろうとしたら〈戻れ〉って言うんです
それでも家に帰ったんです
でも暴れてしまって…
それでまたお願いしますって、戻るとね

〈ただいま〉って言ったんです

鳥肌がたちました」と家族は映画の中で話す


若者達の〈宅老所としての生き方〉ブームに火を付けたのは生活とリハビリ研究所三好春樹さんだ

仕事が見つからないとか
大企業に就職したい若者達も多いだろう

三好春樹さんは言う

「介護ほどおもしろい仕事はないんじゃないか

他にあるとしたら農業や芸術家だろうか」


ぼくは思う

介護の仕事は

「呆けてたらダメ」という強い側から

「呆けててもいいよ」という弱い側へ〈降りてゆく〉仕事だと思う


それは
目の前に立ちはだかる壁をどうやって乗り越えるか?

笑顔を引き出せるか?

そのためには介護職はなんだってする

俳優にもなるし

お笑い芸人にもなる

創意工夫で乗り越えるのだ


どんなに理不尽な「問題行動」があっても
精神科で強い薬を服用する代わりに
介護職は
目の前の一人のピュアで強烈な個性を持った人生の先輩としてまるごと受け止めようとする


それは実際、施設ではなかなかできないことだけに

彼らの
だからこそ始めた挑む思いは熱いのだろう


この映画を撮ったのは、大宮浩一監督だ
この映画撮りの後の9月11日、広島の宅老所『玄玄』が主催したトークライブ〈介護バカの集い〉も監督はカメラを回さずにはいられなかった

舞台挨拶で監督は
「勢いで撮ったんですが、これも記録映画になりました

たった今、『ポレポレ東中野』で公開が決まりました
12月18日からです」
と話した


外は寒いけど
介護の世界は今
熱い季節がやってきた